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ウポポイ民族共生象徴空間

© アイヌ民族文化財団

22.

アイヌ文化にマナブ

冬のキャンプ料理の新定番「オハウ」って?シンプルな味付けが素材の味を生かしてくれるぞ

秋冬キャンプの定番料理といえば暖かいスープ。今回は、アイヌ料理「オハウ」からインスピレーションを受けた、シンプルで美味しいスープ料理を、アウトドア料理研究家に教えてもらいました。寒い地方に居住していたアイヌの人々の知恵がつまった料理を、キャンプ用にアレンジして紹介します。

文:CAMP HACK編集部

秋冬の定番キャンプ飯といえば温かいスープ

秋冬の寒いシーズンに恋しくなるキャンプ飯といえば、鍋などの温かいスープ料理。簡単で万能なメニューですが、冬になると家でも登場する頻度も上がるため、マンネリ化してしまいキャンプ感も薄れがちです。
そこで、秋冬キャンプでおすすめの少し変わったスープを、料理家の蓮池陽子さんに教えてもらいました。

アウトドア料理家に、一味違ったスープを教えてもらおう

●蓮池陽子さんプロフィール
「食の物語を紡ぐしごと」をコンセプトに、自然の知識を生かしたアウトドア料理や料理教室、フードコーディネートなどを手がける。
狩猟に同行したり、魚介や山菜、きのこを採ったりと、料理だけでなく、背景にある自然や食文化などの物語を大切にすることもモットーにしている。

蓮池さんに聞く!秋冬のキャンプでの料理のポイント

温かいスープは、煮込みの時間が長いと調理中寒い思いをすることも。自宅で野菜を切ったり、根菜を下茹でしたり、仕込みをしていけばそこまで調理に時間をかけなくて済みます。根菜が美味しい季節なので、季節の野菜をつかったメニューがおすすめですね。
今回は、寒い地域で暮らしてきたアイヌ民族が伝統的に食べてきた、シンプルで美味しいスープを、キャンプ用にアレンジして紹介します。

アイヌの伝統料理「オハウ」って知ってる?

画像出典:(公財)アイヌ民族文化財団

「オハウ」とは、アイヌ民族の伝統的なスープ料理のこと。アイヌ民族は、日本語と系統の異なる言語である「アイヌ語」を話し、自然界すべての物に魂が宿るとされる「精神文化」など、固有の文化を発展させてきました。
主に狩や漁、山菜の採集などによって食料を得ていたアイヌ民族にとって、居住する地域や季節に沿った食材を使ってつくるスープ「オハウ」は、食生活の中心をなす料理だったそうです。

まずは知りたい!定番の「オハウ」レシピ

北海道白老町に設立された、アイヌの歴史・文化を学び伝える民族共生象徴空間「ウポポイ」から、伝統的なオハウのレシピを教えてもらいました。 (公財)アイヌ民族文化財団

伝統的なオハウの作り方

1 昆布(コンプ)を水で戻す
2 具材を食べやすい大きさに切る
3 具材を鍋に入れる
4 3が煮えたら魚(チェㇷ゚)を入れる
5 塩・油で味を調える

オハウに入れる具材は地域や季節、家庭によってもさまざま。昆布のだしと具材から出る優しい味をベースに、獣脂や魚油を入れてコクを出すことがポイントです。温かいオハウもあれば、冷たいオハウもあるんだとか。

早速キャンプでオハウにチャレンジ

ベースのオハウの作り方を理解したところで、アイヌ語で「カムイチェッㇷ゚(神の魚)」と呼ばれる鮭を使った「チェㇷ゚オハウ」を、キャンプ用に簡単、手軽にアレンジして作ってみました。

材料は実にシンプル!

今回は、スーパーで手軽に手に入る材料を使います。旬の食材を使っていたオハウにならって、季節に合わせて食材をチェンジするのもいいですね。

材料・分量

鮭(甘塩)…3〜4切
大根…1/3本
人参…1本
ねぎ…1/2本
しめじ…1/2パック
じゃがいも…3〜4個
昆布…2〜3枚
塩…適量
油…適量

チェㇷ゚オハウは、鮭を燻製にしたものを使うことも多かったようです。今回はキャンプ用に簡単にアレンジしたため、切り身の鮭を使用します。 [蓮池さん]脂の乗った季節の魚であれば、鮭以外でも美味しそう。

まずは、家での下ごしらえから紹介します。

下ごしらえ① 野菜を切って、火を通しておく

大根は皮をむき、縦に十字に刃を入れて4等分し、長いいちょう切りにします。じゃがいもは皮をむき、大根と同じサイズに。
切った材料を鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぎ火にかけ、沸騰したら3分加熱しザルに上げて冷まします。

下ごしらえ② 昆布出汁を取っておく

昆布を約500mlの水に浸けて、保冷。キャンプ前日に水筒などに入れて、出汁を取っておきます。より手軽に作るなら顆粒出汁でもOK。

次に、作り方を紹介していきます。

① 具材を切る

[蓮池さん]魚の骨が硬い場合は、キッチンバサミを使います。カット野菜や、キャンプ場近くの直売所で買えるものを使っても。

しめじは石づきを取り、ねぎは食べやすい大きさにします。鮭は3〜4等分にカット。

② 具材を鍋に入れる

鍋に大根、人参、じゃがいも、しめじと、昆布出汁を昆布ごと入れ、かぶるぐらいの水を加えて火にかけます。

③ チェㇷ゚(魚)を加える

[蓮池さん]プラスαとして、サバかイワシの燻製を加えるのもおすすめ。

沸騰したら鮭を加え、野菜が柔らかくなるまでコトコト煮ます。

オハウは魚だけでなく、シカやクマの肉などバラエティ豊かな食材を使ってつくられます。また、燻製保存した魚や肉を使うことも多かったようです。

④ 塩と油で味を調える

[蓮池さん]伝統的なつくりかたでは魚の内臓の脂を使いますが、手軽に作るにはサラダ油やオリーブオイルなども可。魚から自然に出る油だけでも十分美味しいです。

塩と油で味を整え、ねぎを加え柔らかくなれば完成。

味変は「ギョウジャニンニク」でスパイシーさをプラス

味変したくなったら、アイヌ民族の重要な食糧だった「ギョウジャニンニク」を加えてみましょう。ギョウジャニンニクはネギ属の多年草で、ニラとニンニクを合わせたような強い香りが特徴。アイヌ民族は、ギョウジャニンニクを天日干しして乾燥させ、保存していたそうです。 [蓮池さん]乾燥させたものや醤油漬けのものなど様々な種類があるので、ぜひ探してみましょう。

他にもある!キャンプで手軽に楽しめるおつまみレシピ

長くて厳しい北海道の冬を乗り越えるために、アイヌの人々は肉や魚、山菜、栽培作物などの食料を保存する方法(知恵)を伝えてきました。せっかくなので、保存食材を使ったアレンジレシピも教えてもらいました!

キャンプでお馴染みの「燻製」はアイヌ文化でも大切なものだった

出典:Facebook/ウポポイ(民族共生象徴空間)

アイヌの人々は乾燥させて囲炉裏の煙でいぶした、いわゆる「燻製」も保存食としてよくつくっていたそうです。さまざまな食べ物を燻製にして保存しましたが、特に有名なのが「サッチェㇷ゚」(干し鮭)。「鮭とば」と似ていますが、作り方も味も違います。
「サッチェㇷ゚」は、秋から冬にかけて産卵のために川を遡上してきた鮭を採り、開いて内臓を抜いて寒干しします。その後、「チセ(かやぶきの家)」の天井につるし、いろりの煙で2カ月ほどいぶして、うま味を引き出します。こうして奥深い味が作られるのです。
古くは塩は貴重な交易品だったことから、塩をふんだんに使うような保存法をせず、開いて内臓をとったサケを寒干しして保存食ともしていました。
何気なく食べている燻製について、理解が深まりましたか?サッチェㇷ゚は手に入れることが難しいので、今回はスーパーなどで手に入れやすい鮭とばを代用して、簡単おつまみレシピを紹介します!

いつもの鮭とばが早変わり!簡単おつまみレシピ

鮭とばを柔らかく戻して、ラー油を使って貝割れ大根と和えた、簡単おつまみ「鮭とばと貝割れ大根のラー油和え」を紹介します。

材料・分量

鮭とば…40g
貝割れ大根…1/2パック
水…80ml
米酢…20ml
砂糖…少々
A
・ごま油…小さじ1〜
・ラー油…適量
・白いりごまかすりごま…適量
・塩・こしょう…適量

① 鮭とばを柔らかくする

シェラカップに鮭とば、水、酢を入れて火にかけます。沸騰したら2分ほど弱火で加熱し、火を止めて15分ほど置いて、柔らかく戻します。

② 鮭とばを和える

[蓮池さん]紫玉ねぎとセロリなどを入れて、オリーブオイルで仕上げると、おしゃれな感じになりますよ。

水を切った鮭とば、食べやすい大きさに切った貝割れ大根と、Aの調味料で和えれば完成です。

一味違ったキャンプ料理のお味は…!?

それではいよいよ実食。蓮池さんとともに、編集部の3人がオハウをいただきました。アイヌ料理からヒントを得た温かいスープとおつまみ、果たしてそのお味は?

[編集部深作]オハウは味付けがシンプルだから、素朴で優しい味ですね。味噌や酒粕を少し加えてもよさそう。 [編集部林]ギョウジャニンニクを入れると、香りが強くなって旨みが増した感じがする!
 [編集部高木]鮭とばと貝割れ大根のラー油和えは、ビールが進む!最初にささっと作って、つまみながらスープができるのを待つのもアリだね。

一味違ったキャンプ料理、簡単で美味しくて、大アリです!

キャンプ向けに簡単にアレンジした、伝統料理「オハウ」。やさしい昆布のおだしと、魚や野菜のうまみが感じられるスープは、寒い冬のキャンプでじんわりと暖まれる滋味深い味でした!
アイヌ文化では、狩猟や漁、山菜・野草採りで食料を採るにあたって、必要な分だけを採り、他の動物たちのため、来年のために残しておく考えがあります。
大自然と共生し、感謝をささげながら生活してきたアイヌ民族の考え方には、自然を愛するキャンプ好きの私たちも学ぶものが多そうです。

「ウポポイ」ではアイヌ文化伝統の本格レシピが体験できるぞ!

画像出典:Facebook/ウポポイ(民族共生象徴空間)

北海道白老町にある「ウポポイ」では、アイヌ文化のことをもっと知ることができる様々なプログラムも用意しています。体験学習館で行われる調理体験「ポロトキッチン」では、実際にアイヌ伝統料理の作り方を学べます。

ウポポイの施設内にあるレストランやカフェ、フードコートでは、アイヌ文化に由来した食材を利用した、さまざまな料理を味わえます。ウポポイ歓迎の広場にあるカフェスタイルのお店「カフェリㇺセ」には、「チェㇷ゚オハウセット」もありますよ。

キャンプでオハウの簡単アレンジレシピを楽しんだら、ぜひ北海道を訪れた際には、ウポポイで本場の味と食べ比べてみましょう。

ウポポイ 民族共生象徴空間

住所:北海道白老郡白老町若草町2丁目3
営業時間:9:00〜18:00 土・日・祝日9:00〜20:00
定休日:月曜(祝日または休日の場合は翌日以降の平日)
ウポポイ(民族共生象徴空間)の詳細はこちら

文:CAMP HACK編集部 撮影協力/RECAMP勝浦 Sponsored by 公益財団法人アイヌ民族文化財団

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